練習日誌

終演の挨拶(プロデューサーより)

こんにちは。今回プロデューサーを務めさせて頂いた山本です。
最後に、私からも終演のご挨拶をさせていただければと思います。

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突然ですが、「大入り袋」というものはご存じでしょうか?

大相撲・寄席・歌舞伎などの興行で、観客が多く入った際に祝儀として関係者に配られるもの、らしいのですが、調べてみると色々な団体で多様な形で配られているようです。

一般的には祝儀袋に50円玉や100円玉を入れて関係者に配ることが多いようですが、劇団たくあんでは5円玉を参加メンバーに配っています。

そして、打ち上げの飲み会の場で、一人一人が5円玉を取り出し、他のメンバーと交換して回ります。
そうすることで、ご縁が回ってまたどこか公演などで関われたら、そういう気持ちを5円玉に込めて、メンバー間で交換するのです。

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劇団たくあんはいわゆる社会人劇団で、メンバーの半分以上が普段は会社などで働いています。

演劇はなんだかんだで時間的・体力的な負担がかなり大きく、仕事をしながら演劇を趣味として継続していくことは容易なことではありません。

公演を終えた時にはもう本当にヘトヘトで、私なんかは体力があまりないもので、しばらくは劇から遠ざかって体力・気力を充電する期間が必要になります。

そして、しばらく演劇から離れていると、もう良い歳だし、そろそろ演劇は辞めてもいいかもしれないな、なんて思ったりします。

でも、日常のふとした時に、定期券にそっとしまってある、みんなと交換した5円玉が目に入ってきます。そして、色々な記憶がさっと、蘇ってくる。
開演前の緊張感、終演時の拍手と前を見上げた時のまばゆい照明、打ち上げのにぎやかさ。

そんなフラッシュバックが5円玉の存在によりぽつぽつと日常の中で繰り返され、徐々に「また演劇やりたいなあ」という想いが沸き起こってくることになるのです。

今回の公演はそんな折りに、たまたま劇団たくあんのOB・OG会が開催され、演劇をまたやりたいという気持ちが急速に高まり、何人かに声がけをしてみたのがきっかけとなっています。
その時はまだ、何も決まっていなかったのですが、半年以上かけて何とか実現にまでこぎつけることが出来ました。大雑把な企画だったにも関わらず、参加してくれ、色々と協力してくださったメンバーのみなさんには本当に感謝仕切れません。

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私が劇に参加する際に大切にしている考えが一つあります。
それは、「全く同じメンバーで公演が出来ることは二度とない」という事実を常に意識することです。
加えて、私のような社会人メンバーだと、「今回が自分の参加する最後の公演かも知れない」という事実ものしかかってくることになります。
すこし重圧に感じたりすることもあるけれども、それでもみんなで劇を作っている「今」を楽しみたくて、この時間がいつまでも続くようなフリをしながら、今回の座組の個性的なメンバーたちと一緒に劇を作る喜びをかみしめるようにしていました。

今回、劇を観に来てくださった方々の何名から、「役者が劇を楽しんでいるのが伝わってきた」というお言葉を頂戴しました。
私たちが精一杯作り上げてきた楽しい空間が、少しでも観客の方々に伝播し、共感いただけたのであればこれほど嬉しいことはありません。

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今回の公演は本当に、様々な良い縁に恵まれました。
観客としてきてくださった方々もとても温かく、観客の方々の温かさがあったからこそ、今回の公演の良い雰囲気が実現できたのだと思います。
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。

最後に。
劇団たくあんは不定期に活動をしており、次の公演がいつになるかは決まっていません。
もしかしたら今回が最後の公演だった、ということもあるかもしれません。

でも、メンバーの心に植え付けられた今回の公演の記憶がそのうち芽吹き、誰かがまた「そろそろたくあんで演劇やりたいな」なんて言い出してくれるんじゃないかな、と信じています。

また、そのうちお会いしましょう。